日本一長いと言われる天神橋筋商店街。 天神橋を起点として、北は天神橋筋七丁目まで伸びる、全長2.6キロの商店街だ。 大阪に長年住んでいながら、部分部分でしか歩いた事がない。 今回梅雨空と言う事も利用して、天神橋の全貌を明らかにするべく、端から端まで歩いてみようと思う。
天神橋と言えば、大阪天満宮だ。 学問の神様、『菅原道真公』を祀っている。 私は天神祭をこよなく愛する者であり、事ある度に天満宮に訪れている。 四天王寺と同様、都会に居ながら静寂を味わえる。 寺社マニアである私のお気に入りスポットの一つである。 余談になるが、何故か天満宮で引くおみくじは、毎回凶なのだ。 神様からの有難い試練だと心得て、今日も参拝している。
商店街には、様々なジャンルのお店が軒を連ねている。 新しいモノから古いモノまで集っているので、若い世代からお年寄り世代と、幅広い年齢層で楽しめる。 だがこのご時世という事もあり、日曜日の午後だと言うのに、人通りはまばらで活気に欠ける。 私は張り子の虎の如く、左右に首を振りその中を通り抜けていく‥。
四丁目まで来たので、少し休憩。 大阪人なら皆知ってる『スーパー玉出』で、お馴染みグリーンラベル500缶を購入。 今日も派手なネオン管が美しい。 アテにたこ焼きも購入し、扇町公園でしばしひと休み。 辺りを見渡すとやはり公園は人が多い。 子供〜大人まで大集合だ。 まさしくコロナ時代の象徴と言えよう。 色々と思いにふけながら私は公園を跡にした。
天満の飲み屋街を通り抜け、六丁目に入った途端、急に道幅が狭くなった。 ここからは観光客向けではなく、地元のお客向けのローカル商店街に様変わりした。 雑多に積み上げられた商品、やたらと安い服や靴、やる気のない骨董品のお店、誰が買うねん!と思う宝石屋さんなど、令和感を昭和感が上回っている。 私はこういったローカルなお店を見て回るのが好きだ。 なぜなら、その土地の有名なお店や特産品などを知る事ができるからだ。
七丁目から先はアーケードが無くなってしまったが、『天神橋筋商店街』と書いてある街灯が並んでいるので、そのまま歩き続けた。 そこは商店街と言うよりは、商店街風にデザインされた町と言うべきであろうか。 恐らく昔は、ここも商店街として栄えていたが時代の流れで民家に変化していったのだろう。 目の前に軽い登り坂が見えた。その先には、大きな空が広がっている。 あそこが終着点か。 私は淡々とその坂を登った。 日本一長い商店街の終着点は、、ラブホテルだった。 スタート地点が天満宮だったので相対するモノがラスト地点を飾っていた。 これが天神橋筋商店街の全貌だ。 私が感じた事は、地域の属性とニーズに合わせお店も変化していると言う事である。 人に求められるモノに変化する。 ただし個性は無くさない。 その為、長きに渡り栄え続ける商店街なのだろう。 私もこの商店街のように、人に求め続けられる面白いエピソードを発信できるよう、柔軟であろうと思った。 と、淀川の河川敷に腰を下ろし、電車を見つめながら思ったのであった。